
顔面フィードバック仮説
表情に心がつられる、という現象があります。怒った表情をしていると実際には怒っていなくてもだんだんとイライラしてきたり、反対に怒っていたり悲しいときに笑顔の表情をつくることで楽しい気分になってくるという現象です。アメリカのジェームス・トムキンスというアメリカの心理学者が発表した【顔面フィードバック効果】といいます。
私は飛行機が苦手なのですが、所要でどうしても飛行機に乗らなければいけなくなりました。
友人にその話をしているとき、最初は少し冗談めかして「飛行機やだな~」と話していたのですが、泣きまねをしながら「もうだめだ。これでさよならだ、いままでありがとう」と言いながら友人に話していると、なんだか本当に悲しくなってきて泣けてきました。自分でも驚くほど表情に心がつられてしまったのです。もちろん友人はドン引きし言葉を無くしていました。あの時はすみません。
上記は顕著な例ですが、表情にはこころをコントロールする力があるということです。
このように、怒ったりイライラした気持ちをコントロールするには、
笑顔をつくってしまえばいいということです。
怒った表情をしているときにむりやりにでも口角をあげて笑顔の表情をつくると、怒りたいのに気持ちが追い付かず、怒れません。口角をあげるだけで、です。
なぜならば、大頬骨筋が口角をきゅっとつりあげ、それにより目が細まると頬と眼輪筋にあるツボが刺激を受け、βエンドルフィンやドーパミンなどの脳内麻薬物質が分泌され、脳が楽しいと感じてしまうからです。そして起こった気持ちは強制的に楽しい気持ちに上書きされてしまうのです。
これを鑑みますと、最初は無理やりのつくり笑顔をしていても、脳が勘違いをすれば自然に本当の笑顔になるということがわかります。
一般的に、悲しいから悲しさが顔に出る、嬉しいから嬉しさが顔に出ると思われがちですが、実は表情に気持ちがついてくることも多いわけですね。
応用編
この効果を利用して、セルフコントロールしてみましょう。
嫌いな相手と話すとき
あえて笑顔で接してみましょう。ネガティブな気持ちが伝わりづらくなり、コミュニケーションも少しは円滑になるはずです。
誰かに怒りたいとき
いきなり怒るのではなく、一呼吸おいて笑顔をつくりましょう。必要以上にエキサイトしなくなります。
面倒な仕事を前にしたとき
仏頂面になるところを押さえて笑顔をつくる。嫌々やってもミスが増えるだけ。楽しく取り組みましょう。
悲しい気持ちが消えないとき
悲しいと感じることも大事ですが、長い悲観は負担です。思い切って無理やりにでも笑顔をつくりましょう。
